「奈義らしさ」を生かす、グランドデザインに向けたワークショップが開催されました。

10月20日(木)、奈義町役場で「第4回なぎタウンプライド推進協議会」が行われました。

最初は、事務局から地域再生計画についての報告。それを受けて、「教育・文化」「子育て・保育」「観光DMO」「生涯活躍のまち」4つの部会・委員会から提言が発表されました。奈義町の暮らしにかかわる環境が、これからよりよい変化を遂げていきます。

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その後、いよいよグランドデザインに向けたワークショップがスタート。奈義町は、今後、地域再生計画のもと、さまざまな取り組みが行われる予定ですが、それらが分散してしまうと「奈義らしさ」を見失ってしまいます。それを防ぐために、ブレない軸を立てておこうとワークショップを重ねて、まずはグランドデザインをつくることにしています。

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「奈義らしさ」に気づくには、町内の人だけではなく町外や県外で暮らす人の視点も大切です。そこで、ワークショップでは、町内で暮らす人たちと町外の有識者、そして景観デザインを専門とする熊本大学大学院准教授の星野裕司さん率いるグランドデザインチームが一緒になって、4つの班で奈義のモノやコトについて話し合いました。

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まずは、前回のワークショップのおさらい。町民の方から教えてもらったたくさんの「好きな風景」をもとに、奈義町の那岐山に抱かれた地形や歴史、現代美術館や横仙歌舞伎などの文化など、奈義町の特徴をあらためて確認していきます。

それらを踏まえ、グランドデザインチームが奈義町のこれからの姿の一例を提案。そこで披露されたイメージ図と、部会や委員会からの提言を意識しつつ、みんなで「こうだったらいいな」を言い合って班ごとにまとめることになりました。

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机に広げた奈義町の地図を眺めながら、どの班も話題が尽きることなく30分が過ぎ、いよいよ話した内容のお披露目です。

A班の発表は、自然の話。

「とにかく奈義町だけでしか見られないものを強調したい」という思いから、環境を見つめ直しました。例えば山は、那岐山だけを指すのではなく、周辺の山々も面白くてたくさんの植物や動物たちに出合えるそうです。

また、川の話では、周辺に広がる原生林の紅葉が美しいので、川辺に座って山を眺めながらビールを飲んで過ごしたいという意見がありました。

ここで、星野さんから「川についてもっと詳しく教えてほしい」とA班メンバーへの要望が。すると、町の子どもたちに自然環境を教えている通称よっちゃん先生から「生き物が違うんです」という驚きの一言が。

「町内の川を観察すると、どこも違う生き物が棲んでいます。それぞれの川は河口付近で合流していますが上流では分断されています。だから面白いんですよ」と、よっちゃん先生。

さらに、滝川はホタルの名所、馬桑川では川遊びができるといった、川によって違う過ごし方ができるという贅沢な話も聞くことができました。

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B班は、生活動線を考えた生涯活躍や福祉の話。

現在、各地区ではコミュニティハウスでサロンが行われ、高齢の方が集まる場所として好評なのだそう。一方で、体力的な問題でコミュニティハウスまで行けない方もいます。

そこで、国道53号から近い教育施設に複合して高齢の方のサロンを用意すれば、家族が仕事の行き帰りなどに子どもと一緒に高齢の方も送迎できるので問題が解消されるのではないかという案が出ました。これは、決して壮大な建築の話ではなく、今ある道路を生かしながらより暮らしやすい環境を整えようという話でした。

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C班は、教育面から奈義町を見ていきました。

実際に奈義町で生まれ育った方の話を聞くと、高校時代は土日に町内の図書館で過ごすことが多かったそうです。その理由は、他に行く場所がないから。そこで、高校生のサードプレイス(第3の居場所)が必要ではないかという話になりました。例えば、高校生が通学で利用するバス停のそばに立ち寄れる場所があれば、学校帰りの楽しみが増えるかもしれません。

「高校生は毎日のように町内外を行き来しているので奈義町を俯瞰的に見られる存在。そういう意味で重要なターゲット」と星野さんからも高評価でした。

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D班は、町全体を空間的に考える話。

今あるものを結びつけ、今使っていないものを活用することにポテンシャルがあるという視点で町のなかを見ていきました。

例えば、松神神社の歌舞伎の舞台。神社のそばにはコミュニティハウスなど人が集える場所があるうえ、使われていない納屋があり、神社内には普段は見られない写真もあるそうです。例えばそれを納屋で見たり、お茶が飲めるようになったりすればいいのではないかという案が出ました。

他にも、なぎビーフの牛舎やそば畑、それらの食材を使ったメニューを出しているそばカフェといった横軸で食のルートができる話も。

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最後のまとめで星野さんが一番感心していたのは、それぞれの班のテーマがみごとに違っていたことです。そこから見えてきたことは、「奈義町は一つである」ことと同時に、「奈義には多様性がある」こと。

今日のワークショップで出たたくさんの話をもとに、グランドデザインチームが奈義の未来の姿を描いていきます。