中川春彦さんによるレクチャー「争わない介護」開催!

927()に、奈義町文化センターにて介護支援専門員の中川春彦さんをお招きしてレクチャー「争わない介護」を開催しました。中川春彦さんは大阪の小規模多機能ホームに勤務されていますが、今年2月に奈義町移住お試しツアーに参加してくださり、それがご縁で今回のセミナーを企画しました。

当初、移住お試しツアーに応募されたときは「プログラムに惹かれただけで移住に対する思いはあまりなかった」とおっしゃる中川さんですが、移住お試しツアーを通じて奈義町の医療・介護の充実した取り組みを知ったりすることで、徐々に「こういう町に家族で住んでみたい」と思われるようになったそうです

レクチャーには、町民の方、町内外の医療・介護関係者の方など20名が参加されました。

合気道の原理を取り入れた介護を実践する中川さんによる、介護現場での笑いあり涙ありのエピソードの一つをご紹介します。

 

ある日、中川さんが勤務している施設のフロアへ行くと、「中川さん、いいところに来た」と介護職員が声を掛けてきます。話を聞くと、利用者のAさんがさっきから「リポビタンゴールドを買いに行きたい」と言って聞かないそうです。職員は買いに行けない理由を伝えてどうにか説得しようとしたのですが、Aさんの買いたい欲求は収まるどころか、ますます高まっていきます。

事情を聞いた中川さんは、Aさんを「1ミリも説得しない」と決めて、Aさんに近づいていきました。「リポビタンゴールドを買いに行けない」を理解させる前に、「リポビタンゴールドを買いに行きたい」の気持ちを理解する。その後、中川さんはAさんとリポビタンゴールドを買いに外へ出いてくのですが、リポビタンゴールドは予想外に入手困難で、ちょっとしたロードムービーのような事態になっていきます。

 

このように中川さんはお年寄りと争わずに、振り回されていきます。その振り回されているときの中川さんの困惑や驚きが実に面白く、お話を聞いていてとても温かい気持ちになりました。お年寄りに振り回されたあとの中川さんの合言葉は「ムチャクチャなあなたにありがとう」です。

 

参加者の方からは「中川さんの話を聞いて、子育ても介護も基本は一緒だと思った」「中川さんのような熱心な方にぜひ奈義町に来てほしい」「ただの介護セミナーではなく、わたしたちはこの地で老いて死んでいく、というまちづくりの視点が感じられて、深い感動を覚えました」などのご感想をいただきました。

今回のレクチャーは、奈義町を「いいな」と思ってくれている中川さんと、奈義町の皆さんとの絶好の交流の場となりました。中川さん、ご来場いただいたみなさん、ありがとうございました!

(菅原)