インスタグラマーサミット in 岡山県奈義町を開催しました

今回の企画はInstagramに真剣に取り組んでいる方を対象に「写真を撮り、地域に貢献する」というテーマで開催しました。講師に、北九州を拠点に企業や行政をクライアントとするプロモーション企画の立案・撮影を行なっているAge-Cox代表の栗山喬さんをお招きしました。参加者は東京、名古屋、関西など様々な地域からご参加いただけました。

最初のプログラムは栗山さんによるトーク「風景を撮るということ」。
「風景」と「景観」という言葉の違いや、風景が私たちに与えている影響など、普段何気なく使っている「風景」という言葉を掘り下げて考える内容でした。そして、フォトグラファーとしてなぜ風景を撮るのか、何を考えて風景を撮るのか、といった栗山さんの話は、自分自身の撮影スタイルを考え直す、いいきっかけとなりました。

次は、わたくし、ナギカラの長田による奈義町の風景の特徴についての説明。
奈義町の土地がどのような地質・地形で出来ているのか、災害や気候によってどのように人の生活が作られてきたのか、といった土地の歴史についてお話をしました。「風景が出来上がった背景の歴史を知ることで、風景への理解が深まるのではないか?」と思いこの話をしたのですが、その後の撮影の様子や参加者との会話を振り返ると、効果的だったように思えます。

お昼は奈義町現代美術館のレストラン棟に昨年オープンしたラ・ジータで。自己紹介や写真に関する話をしながら和気あいあいとナポリピッツァを堪能しました。

午後からは奈義町現代美術館での撮影。岸本館長から、美術館ができるまでのエピソードや作品の説明を聞きながら、撮影をしました。

大地の部屋
≪うつろひ-a moment of movement≫
宮脇愛子

月の部屋
≪HISASHI-補遺するもの≫
岡崎和郎

太陽の部屋
≪遍在の場・奈義の龍安寺・建築する身体≫
荒川修作+マドリン・ギンズ

奈義町現代美術館の常設展示は3つあり、どれも体験型の展示作品となっています。参加者の皆さんは、「事前に調べていてもっていたイメージよりもずっといい!」と美術館を満喫されながら撮影を楽しんでいました。
栗山さんを始め、参加者の方がたが撮影した写真は以下リンクにてご覧ください。

age_cox
gotashinohara
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美術館での撮影後は、菩提寺の周辺の撮影に。

大銀杏は残念ながら少ししか黄葉していなかったのですが、皆さん、樹齢900年の迫力に驚きつつもシャッターを切っていました。

参加者の方の写真はこちら。
yuji87

大銀杏を撮影した後は、松神神社へ。
松神神社は、町の地歌舞伎である横仙歌舞伎の公演で使われる場所で、日本でも数少ない廻り舞台が残されている場所です。
奈義町は大きな河川がないため、多くの溜池(120個弱!)があるのですが、松神神社の前にある溜池を撮影している参加者から「池面が風景を反射しているのがきれいで、他の池も撮影したくなる!」というコメントがあり、奈義町の魅力を早くも感じられている様子でした。

最後は、町東部にある西原ダムへ。
町民でもあまり足を運ぶことのない険しい獣道を車で走り、美しい那岐山を眺められる場所を目指します。陽が傾き始めた夕方に、西原ダムに到着すると、その眺めの美しさにみんな寒さを忘れて見入っていました。

参加者の一人がドローンを飛ばし、上空から空撮。
ドローンで撮影される映像には、普段人が見ることが出来ない風景が写っているため、「鳥が見ている奈義町はこんな感じなのだろうか?」と不思議な気持ちになりました。

ドローンの写真はこちらをご覧ください。
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他にも色々な場所に案内したかったのですが、残念ながら時間切れとなってしまいました。まだまだ、撮影できる場所はあるので、参加者のみなさまにはプライベートでも再訪してもらいたいところです。

最後は奈義町現代美術館に戻り、講義とディスカッションを行いました。
ここでは、栗山さんがインスタグラムをきっかけに独立するに至った経緯や戦略、考え方など、地方でフォトグラファーとして活動したい人達にとって、学びの多い話を聞けました。
内容について、印象に残ったことを2つご紹介します。

まず1つ目は、仕事の選び方について。
下記の①と②が重なるものは「趣味」、①と③は「夢」、②と③は「労働」で、①と②と③が重なって初めて「仕事」になるというお話。
①自分がやりたいこと
②自分にできること
③社会が求めること
地方でフォトグラファーとして収入を得ていくために一番大切なことは、最後に挙げた3つの円が重なることを、考えて突き詰めていくことが重要なのでは?という内容でした。この話をきいて、「なるほど」と思うと共に、「自分もこの3つの円が重なる仕事にしっかり取り組まなければ」と気が引き締まりました。

ディスカッションは「奈義町にインスタグラマーが貢献できること」をテーマに行いました。下記にコメントの一部をご紹介します。

「身近にきれいな紅葉があるのがいい。季節によっておすすめのスポットを分けて撮影し、それを紹介するメディアがあるといいかも。」
「歌舞伎が残っているだけではなく、地元の普通に働いている人たちで行っているのが魅力だと思う。地域の人が隠れアーティストみたいな。履歴書に特技:歌舞伎と書けるし、移住したらあなたも歌舞伎に出られますよ、というアピールもいいかもしれない。」
「コンパクトな町でも、身近に見どころのある風景が多い。観光をメインに魅力を発信するよりも、いいライフスタイルが送れる町、といった印象を持った。例えば、2拠点居住で、ちょっとおしゃれでいい生活が送れる、というイメージの写真が合いそう。」

短時間の奈義町滞在でしたが、皆さん奈義町の特徴をしっかりと把握されており、それぞれ掘り下げて議論をしたいと思えるコメントが多く出たので、今後、こういった話を掘り下げるようなイベントもやってみたいと思いました。
本イベントは今回が初めての開催でしたが、ローカルにおける写真の可能性の大きさを実感し、奈義町の風景の魅力を再確認できた充実した1日となりました。参加者の皆さまありがとうございました!

最後に参加者の平井さんが素晴らしいレポートを書いてくださったので、ぜひご覧ください!
岡山県奈義町に移住したくなった話

(長田)